多焦点眼内レンズ
白内障手術には「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2つがあります。
単焦点は遠くまたは近くの一方に焦点を合わせるため、眼鏡を手放せないですが、多焦点眼内レンズは複数の焦点を持つため、眼鏡がなくても遠くも近くもクリアに見ることができます。
どちらのレンズにもメリット・デメリットがが存在し、個人の生活スタイルやリスクを許容できるかでレンズのタイプを選択する必要があります。
今回は、多焦点眼内レンズのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
多焦点眼内レンズとは
眼内レンズは、基本的に「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2つに分類されます。
単焦点眼内レンズは、焦点が1つしかなく、遠くか近くの焦点を設定する必要があります。例えば、遠くを優先する場合は、近くを見るときにはメガネが必要になります。
一方、多焦点眼内レンズは複数の焦点を持っており、遠方から手元まで連続的にピントが合うため、メガネが必要な頻度を減少させ、かつメガネの着脱の手間を軽減することができます。
多焦点眼内レンズのメリット・デメリット
多焦点眼内レンズの3つのメリット
多焦点眼内レンズには、様々なタイプが存在し、それぞれのレンズには焦点や見え方の構造に異なる特長があるため、多くのメリットがあります。
患者様一人ひとりの眼の状態や要望に合わせて、裸眼で快適に生活できるよう最適な多焦点眼内レンズを選択することが可能です。
遠近両用の視界
多焦点眼内レンズの最大のメリットは、遠くと近くの焦点を同時に調整できるため、メガネやコンタクトレンズなしで遠くも近くも見られることです。
眼のピント調整力を向上させることができる多焦点眼内レンズは、単に白内障の症状を改善するだけでなく、老眼にも対応できます。
生活の質の向上
多焦点眼内レンズを挿入したほとんどの方が、眼鏡やコンタクトから解放された生活を送ることができます。
運転中など、注意が必要なシーンでは眼鏡を使用する方もいますが、ほとんどの場合、日常生活を裸眼で過ごせるようになります。
多焦点性の向上によってピント調整が可能となり、これは白内障の症状だけでなく、老眼にも対応できる多焦点眼内レンズの特徴です。老眼鏡から解放され、快適なライフスタイルを享受できます。
多くのレンズから個人に合った見え方を選択できる
多焦点眼内レンズは、非常に多岐にわたるバリエーションがあります。
ピントが2つの焦点に合わせられる2焦点眼内レンズから、3焦点・5焦点眼内レンズがあり、レンズのメーカーや種類によって見え方にも異なる特徴があります。
多焦点眼内レンズの副作用としてよくあげられるハロー・グレア現象(暗い場所での眩しさや、ライトが見にくいなど)を軽減する機能を備えたものや、全体的な視界の精度を向上させたもの、またブルーライトカット機能を組み込んだものなど、構造や価格によって多様な仕様が存在します。
多焦点眼内レンズの4つのデメリット
多焦点眼内レンズは、遠くも近くもクリアに見え、メガネなしで視界が広がるメリットがあります。
手術を受けたほとんどの人は、この視界に満足しています。ただし、多焦点眼内レンズには単焦点レンズと比較していくつかの欠点があります。
最近ではこれらのデメリットを解消したレンズも登場していますが、ライフスタイルによっては単焦点レンズを選択することで生活の品質が向上する可能性があります。
コントラスト感度の低下
多焦点眼内レンズの欠点としてよく指摘されるのは、視界のコントラスト低下です。
健康な白内障前の視力や単焦点眼内レンズのピントが特定の距離に合った視界と比較すると、多焦点眼内レンズの方がコントラストが劣ると言われています。
白内障の症状がかなり進行している場合、もともとコントラストが低下しているため、多焦点眼内レンズを挿入してもコントラストが向上するとされています。
ただし、症状が軽度であったり自覚症状が殆どない場合、手術前よりもコントラストの低下が気になる可能性があります。
多焦点眼内レンズをご希望される場合は、ご自身の眼の状態を考慮しながら、手術の適切な時期や内容を検討していくことが重要です。
ハロー・グレア
ハロー・グレアとは、夜間の光に対する視覚の不具合を指し、これは白内障手術で眼内レンズを挿入した結果、生じるものです。
眼内レンズにおいて、「ハロー現象」と呼ばれる光に輪がかかって見える現象や、「グレア現象」という光がぎらついて眩しく感じる症状など、異常光視症が発生することがあります。
基本的には単焦点眼内レンズでもこの症状は発生する可能性がありますが、多焦点眼内レンズを使用した場合、異常光視症の自覚症状がより強く現れることがあります。
異常光視症の発生には、多焦点眼内レンズが持つ複雑な構造が影響しており、挿入したレンズの種類や個人差によって異なる程度の影響があります。
また、眼内レンズを挿入してから1年ほどで、異常光視症の症状がほとんど気にならないレベルまで改善するケースがほとんどです。
費用が高額
一般的に、多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズと比べて費用が高くなります。
当クリニックでは、単焦点眼内レンズを使用した白内障手術は健康保険の適用範囲内で提供しています。
しかし、多焦点眼内レンズを選択される場合は、その差額分が患者様の自己負担となります。
適応症の限定
すべての患者に適しているわけではなく、角膜の形状や眼の健康状態が問題を引き起こす可能性があります。
多焦点眼内レンズの適応について
多焦点眼内レンズが適している方
- 白内障の影響により視力が低下し、かすみやぼやけなどの症状が現れ、日常生活に支障をきたしている方
- 白内障以外の眼の病気がない方
- 眼鏡をできるだけかけたくない方
- 術後のハロー・グレアなどの副症状が生じる可能性があり、新しい見え方に適応するのに数ヵ月かかること、場合によっては眼鏡が必要になることを理解できる方
多焦点眼内レンズが適していない方
- 夜間の運転が頻繁な方
- スマホやパソコン画面、本などを近くで見る傾向の強い方
- 生まれつき瞳孔径が小さい方
- 白内障以外の眼の疾患がある方(緑内障や眼底疾患など)
- 心配性で細かいことが気になる方
- 多焦点眼内レンズのデメリットを理解できない方
選定療養とは
選定療養は、保険診療と自費診療を併用できる仕組みです。
健康保険の対象である単焦点眼内レンズは主に白内障治療に利用されます。
一方で、もともとは自費診療とされる多焦点眼内レンズは、白内障と同時に老眼を改善することができます。
このように、手術における白内障治療と、老眼を改善するレンズの部分を区別して考えることで、老眼治療レンズの差額を自己負担すれば、残りは健康保険の対象となります。
白内障手術は川越眼科手術とまぶたのクリニックで実施しております
メガネや老眼鏡の頻度を減らし、裸眼での生活を重視する方には、多焦点眼内レンズが適しています。
特に、スポーツや趣味、仕事での機能性を重視する方には、多焦点眼内レンズが最適です。これにより、日常生活でのメガネや老眼鏡の使用頻度が低減し、白内障手術によって症状を治療するだけでなく、近視や老眼の矯正も可能です。
ただし、多焦点眼内レンズは複雑な構造を持つため、特有のデメリットにも留意する必要があります。
POINT
当クリニックの院長はこれまでに1万件以上の白内障手術の実績があります。
また、白内障手術だけでなく、緑内障手術、網膜硝子体手術、眼瞼下垂手術、角膜移植など、広範囲な眼科手術にも対応しています。
最新の医療機器を用い、患者様に安心して手術を受けていただけるよう努めています。手術に関するご質問や不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
川越眼科手術とまぶたのクリニックで、新しい視界を手に入れましょう。
サイト監修者について
医療法人七彩
理事長 本間 理加
これまで大学病院に長く従事し、白内障手術をはじめとして、網膜硝子体手術、緑内障手術、眼瞼下垂、角膜移植など様々な眼科手術に豊富な執刀実績を持ちます。現在医療法人七彩の理事長として川越エリアを中心として手術に特化した眼科クリニックを2医院展開しています。