里見 真衣子と申します。2019年10月より月曜日午前の外来を担当させていただいております。慶応義塾大学病院の眼科学教室へ入局し、現在は和光市にある国立埼玉病院に勤務しております。
一般眼科診療に加え、白内障、網膜硝子体手術などを主に行っております。
丁寧な分かりやすい診療を心がけております。よろしくお願い申し上げます。
今回は「黄斑上膜」をテーマで紹介させていただきます。
この病気は網膜のうち、黄斑と言う視力に携わる部位に膜がはってしまい、膜が徐々に収縮し網膜を牽引し、視力低下や歪みを生じる病気です。
原因は特発性といって原因がないものが多いですが、それ以外に糖尿病やぶどう膜炎、網裂裂孔、網膜剥離などの炎症が原因で二次的に膜が張ってきます。
治療は手術となりますが、黄斑上膜を認めるだけではすぐには手術適応にはならず、視力低下や歪みが強く日常生活影響を与えるものが対象となります。
手術は、硝子体を切除した後に、黄斑を特殊な染色液で染め、膜を剥いてきます。さらに、再発防止のために内境界膜という網膜の一部も剥きます。
ただ膜の癒着がつよいと、膜を剥く際に黄斑に穴が開くことがあります(黄斑円孔)。その場合は眼の中に空気やガスをいれ、術後は1週間程度、腹臥位をお願いすることがあります。
また緑内障のある患者様は内境界膜を剥くと視野が悪化してしまうとの報告があり、出来るだけ、黄斑上膜の除去のみを行い内境界膜は温存するようにしています。
注意点として、術後すぐに視力や歪みの症状がよくなるのではなく、徐々に牽引されていた網膜が伸びることにより、視力や歪みが改善してきます。
また術前の黄斑の断層写真で、牽引がつよく網膜の内層だけでなく、外層の形態まで悪化しているものは、術後の視力の改善も弱いことが多いです。
また歪みは縦と横のうち、縦の歪みは残りやすいと言われています。
回復には個人差があり、最終的な視力や歪みは半年程度経過をみていただくことが多いです。
物が歪んで見えたりする方は、ぜひ一度受診いただき、ご相談下さい。