日帰り眼瞼下垂手術
眼瞼下垂とは
年配の方のお顔をよく拝見すると、おでこにしわが寄って、まゆ毛の位置が高くなっている方がいらっしゃいます。
上まぶたには上眼瞼挙筋というまぶたを上げる筋肉があり、それが弱るとまぶたが下がってきます。それを補うために、おでこの前頭筋という筋肉でまぶたを上げようとするので、おでこにしわが寄り、眉毛の位置が上がります。さらに上の視界が狭くなってくると、顎を上げて、物を見るようになります。そうすると、常に筋肉が緊張した状態となり、肩こりなどの原因となるともいわれています。
このように、瞼が下がり黒目にかかる病気を眼瞼下垂と呼びます。加齢性、ハードコンタクトレンズの長期装用などがあり当院では患者様の状態にあった手術方法を行います。
上まぶたの皮膚がたるんで、上方の視野が見えにくくなる状態を上眼瞼皮膚弛緩症と呼びます。余剰な皮膚を適切な量だけ切除して、視野、外見の改善を目指します。
眼瞼下垂の症状
1.瞳がまぶたで隠れる
こうなると視野の上のほうが見えにくくなります。そのため、アゴが少し上がった感じになる方もおられます。また、まぶたが重いと症状を訴えられることもあります。
2.おでこにしわができる
おでこの筋肉(前頭筋)を使って、目をがんばって開けるようになります。そうするとおでこにしわができます。
3.眉毛の位置が高くなる
若い頃より、眉毛の位置が高くなります(目と眉毛の位置が離れる)。これもおでこの筋肉を使うためです。
4.二重の幅が広がる
少し眠そうな外見になり、上まぶたが少しくぼんだ感じになる方もおられます。
5.肩こりなど疲れやすい
開けにくい目を無理に開けようとする状態が続くと、おでこの筋肉が緊張状態になり、肩こり、緊張型頭痛、眼精疲労になる方もおられるようです。
上まぶたのふちのカーブが下がって、黒目の瞳にかぶさっています。そのため、奥二重の目が三重になり、目の上がくぼんで、眉毛の位置が高くなり、おでこのしわが強くなっています。
手術後の写真に目を移すと、まぶたは違和感なく上がり、眉毛の位置も下がって、おでこのしわも少なくなっています。


眼瞼下垂;睫毛上皮膚切除、重瞼術 術前と術後2週間
眼瞼下垂の原因
・眼瞼皮膚弛緩症(偽下垂:広義の眼瞼下垂)
まぶたの皮膚のたるみによる
・後天性(狭義の眼瞼下垂)
加齢性、ハードコンタクト長期装用、筋無力症、麻痺性(動眼神経麻痺、顔面神経麻痺など)など
加齢性、ハードコンタクト長期装用が一般的に多く、腱膜性眼瞼下垂と呼ばれ、眼瞼下垂の多くを占めます。
・先天性
生まれつき症状がある方で、まぶたを上げる筋肉の力が弱いためです。ナイロン糸やゴアテックスなどで眉の上の筋肉の力が瞼に作用するように(吊り上げ術)手術します。
眼瞼下垂手術
治療
・日帰り手術治療を行っています。局所麻酔で行い、入院する必要はありません。
・片目性と思っていてもおでこで頑張ってあげていることがあり、基本的に両眼同日手術をお勧めしています。別日に行うより左右の差が少なくなるように術中調整が可能です。
・当院で行う眼瞼下垂手術は全て保険診療で行っております。術後はまぶたが腫れますが、その程度は個人差があります。少しでも腫れを少なくするために、術後は保冷剤・水で濡らしたタオルでしっかり冷やしましょう(冷やしすぎは創の治りを遅くしますので、指示を守ってください)。
眼瞼皮膚弛緩症に対して
たるんだ皮膚を切除します。切除方法には「重瞼線切開法(睫毛上皮膚切除)」「眉下切開法」の2つがあります。
重瞼線切開法(睫毛上皮膚切除)
二重まぶたのラインに沿ってたるんでいる部分を切除する方法です。
特徴
- 新たに二重まぶたを作るので、将来脂肪が抜け皮膚がたるんできたときにそこが防波堤の役割をしてくれます。
- まぶたの皮膚が厚い方は、腫れぼったいまぶたになることがあります。
- さかまつげの治療や眼瞼下垂の手術も同時に行える。術後の腫れは1-2週間です。
眼瞼下垂;睫毛上皮膚切除、重瞼術 術前(左)と術後2週間(右)
眉下切開法
眉毛の下でたるんでいる部分を切除する方法です。瞼の上の皮膚が厚い方はこちらを選択します。眉の下に傷ができますが、半年ほどで目立たなくなります。女性では眉を描けば隠れるようにご本人様の希望の形に切開線を作ります。
特徴
- もともとの目のフチを残せるので、自然な感じのまぶたになりやすい。皮膚の厚い方向け(まつ毛の際の薄い皮膚を残せる)。
- 傷口が眉毛の下に傷口が残る。
皮膚のたるみが多すぎて一度に理想の形になり切れない方の場合、3か月後に睫毛上で手術します(二期的手術)。 - 重瞼線切開に比べて術後早期の腫れは少なく2-3日です。抜糸を1週間後に行います。
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眼瞼下垂 眉毛下皮膚切除 術前(左)と術後3か月(左)
2つの方法にはメリット、デメリットがあり、どちらの方法が適しているかは相談の上、決定します。
腱膜性眼瞼下垂に対して
まぶたを上げる筋肉が、元来ある位置から外れてしまって、まぶたを上げる力が伝わらなくなった状態です。これに対して様々なアプローチで筋肉を元の位置に修正し、まぶたを上げる力が伝わるようにするのが手術の目的となります。
まぶたの外側(皮膚側)からの手術
・ミュラー筋タッキング手術や挙筋腱膜短縮術
軽度~中等度の眼瞼下垂が適応となります。
※高齢者の方で、まぶたの皮膚のたるみが多い方は、全切開にて余分な皮膚の切除も併用して行います。 逆に、 40代~50代の皮膚のたるみが少ない方は、小切開にて行うため、比較的術後の腫れも少なく手術ができます。

眼瞼下垂:眼瞼挙筋短縮術前(右)と術後3か月(左)
まぶたの内側(瞼結膜側)からの手術
・経結膜的挙筋腱膜タッキング術
美容外科の領域で発達してきた術式で、皮膚側を切開しないので、術後の腫れが少ないところが特徴です。40~50歳ぐらいのまぶたの皮膚のたるみのないハードコンタクトレンズ長期装用による眼瞼下垂が良い適応ですが、当院ではほとんどの方が余剰皮膚の切除も行うため、この術式は少ないです。
日帰り眼瞼下垂手術費用:保険適応
当院で行う眼瞼下垂の手術は保険診療にて行います。美容的な自費手術は現在しておりません。
左右差ができるだけでないようにしておりますが、見た目を整えることが目的ではなく眼瞼下垂を治し症状を改善することが保険診療です。
1割の患者様 片目→8千円程度 両目→1万6千円程度
3割の患者様 片目→2万4千円程度 両目→4万8千円程度
となります。