網膜硝子体手術とは
硝子体(しょうしたい)とは透明なゼリー状の組織のことです
眼球の中には硝子体という透明のゼリー状の組織があります。
硝子体が何らかの原因によって網膜を牽引したり炎症を持続させたり、混濁や出血を含むことによって網膜に光が到達する妨げとなります。
この硝子体を切除する為に角膜の横に小さな穴を3ヶ所開け、そこから細い器具を眼内に挿入し、眼の中の出血や濁りを硝子体と共に取り除きます。その後、網膜の病変に対する治療を行ったのち、手術終了時に眼内を水・空気・ガス・シリコーンオイルのいずれかに置き換えます。
硝子体手術が有効な病気は、糖尿病網膜症、硝子体出血、網膜剥離、黄斑円孔、黄斑前膜、網膜血管疾患(網膜静脈分枝閉塞症・網膜中心静脈閉塞症)、硝子体混濁(ぶどう膜炎)など、非常に多岐にわたります。
日帰り硝子体手術
負担の少ないシステムです
ご来院からご帰宅までのお時間の目安は2~3時間程度です。
手術の進行状況・手術内容によっては、目安のお時間より長くなる場合がございます。
網膜硝子体手術の方法
術式・麻酔方法・手術時間
- 術式
- 白目(眼球結膜)の部分に3か所傷を作って手術器具を入れます。
※1ヶ所0.5~0.6㎜程度のわずかなものです - 麻酔
- 手術は局所麻酔で行っていきます。点眼麻酔とテノン下麻酔(白目の結膜から、眼球の奥の方に先の丸い刺さらない針を使って麻酔薬を注射します)です。
- 時間
- 原因疾患によって異なりますが、約30分~60分程度かかります。
手術中・手術後の注意点
- 手術中
- 麻酔は局所麻酔で行うため、会話は可能です。
何か困ったことがございましたら身体は動かさず声に出して知らせて下さい。
- 術後
- 手術後、黒い輪の様なものが見えることがあります。
- 1~2週間で自然に消失します。
- 水の中を覗いているように揺れ動く感じに見えたり、細かい点が見えたりします。
- 必要に応じて眼内に空気やガスを入れることがあります。
- 徐々に吸収され、消えます。
- 手術後充血やゴロゴロした感じが残ることがあります。
- 時間とともに改善していきます
- 手術後の視力は、術後安定するまで6~12ヶ月かかります。(原因疾患によります。)
- 病気の原因がなくなっても、物が小さく見えたり、歪んで見えたり、
- 少し暗く見える場合があります。これは網膜が病気がある間に傷んでしまったもので、
- 手術をすれば完全に病気になる前の状態に戻るというものではないからです。
- 目の中に空気やガスを入れるとうつ伏せ・座位・ベッド拳上・横向きなどが必要になります。
- 術後の体位も治療のひとつです。
- 網膜剥離などでは穴に空気をしっかり充てることで穴の周囲の接着がよくなります。
- 術後の体位は症状より異なるため、術後は医師の指示に従って下さい。
診察や検査内容により手術をすることが決まったら
- 1.手術に関する日程を決めます。
- ・患者様と相談しながら、手術日、その他検査・診察日の日程を決めていきます。
・手術決定後は医師やスタッフから、手術方法の他、手術前後の予定・注意事項等の説明及び問診があります。 - 2.手術前検査(予約制)を行います。
- 手術に必要な眼の検査と採血・心電図検査、及び診察を行います。
- 3.手術前最終検査
- 手術のオリエンテーションを行います。
(手術当日の来院時間・手術前点眼・手術前後の注意事項などについて) - 4.手術当日
- 5.手術翌日診察
- 術後1週間は短い間隔で診察があります。その後も定期的に診察が必要となります。
- 手術前後の診察時には、基本的に瞳を広げて(散瞳)診察を行います。
散瞳や、眼帯をしている状態では視野が狭くなり、遠近感が取りづらくなるのでお気を付けください。
以下の場合は硝子体手術の可否に関わりますので手術前に早めに医師へご相談下さい。
飛行機での旅行・高地(標高1000m以上)への旅行を手術後1ヶ月の間に予定している場合。
手術により硝子体を空気またはガスに置き換えた場合、気圧の変化により期待が膨張して眼圧が上昇するため、飛行機での旅行や高地(標高1000m以上)への旅行は一定期間禁止となります。
例)
空気のみの場合:約1~2週間
ガスの場合:約1か月
※シリコーンオイルに入れ替えた場合は、飛行機や高地への旅行は問題ありません。
全身麻酔・歯科での吸入麻酔を術後1~2ヶ月に予定している場合。
手術の際に使うガスが眼内に残存している場合、吸入全身麻酔で笑気(亜酸化窒素)を使用すると眼圧が急激に上昇することがあります。