担当医ブログ

患者の気持ち・医者の気持ち

川越西眼科院長はこの5年でぼちぼち大きな手術を3回受けています。自分が患者になったとき、専門外だと全体像がつかめないため、あれこれ調べまくります。

病気になって不安の原因は一番はその病気の全体が把握しきれていないから。だから、どうなってしまうのか、と不安になる。専門外でも医者なのでこんな合併症が起こり得る、という程度はわかるのですが、その頻度、自分はハイリスクなのか、起こった場合にどう対処するか、どの程度の期間不具合が生じるのか、を調べます。というか、調べずにはいられないですよね。

耳下腺腫瘍は一時痛みがあったので悪性ではないか、と心配しました。

調べても浅い内容しかなかなか手に入らず、ようやくそこそこの信頼性がある情報を得て診察に行くと調べた内容(穿刺はしない・エコーはする、が事前に得ていた情報)と違ってエコーはせずに穿刺、といわれて不安。所詮エコーだからしなくてもと思いますが、穿刺はやっても取れるのは少量なので結果が良性でもあまり意味ないし(良性の中に悪性化が始まっていることもある)、悪性だったら穿刺がきっかけで飛ばないか(転移しないか)。それで、一応穿刺して飛ばないか聞いてみたら「じゃあ、手術の○週間前にしましょうね」、と先延ばしになりました。穿刺に意味あるか?とふと頭をかすめましたがが忙しい先生にそれ以上質問するのははばかられ、悪性なら悪性と先生が事前に知りたいんだと、とそこはすぐ納得して別のことを聞く。ある機器を使って手術するのがスタンダードなのか、最新なのか、なくてもいいような機器なのか、それをその病院でオペに使っているのか。結果は昔からうちでは使っているよ、でした。

ちなみに情報の収集は病名のあたりがついてから、耳鼻科と形成の学会のHP見て不足で、キーワードを変えて、大量オペしている施設の学会発表内容を漁って、それからそれらの大学関係を調べたら先述の機器を使っているところと使っていないところがある、とわかりました。それから検査は何をするのかを検索。都内や大学にいたら他の調べ方をしているとおもうのですが、pubMedは使わず、そこそこ総括的なページで病院・医師名で記事が記載されているものを選んで調べていきました。記者さんが書いたものは、自分の専門分野のものを見ると間違っていることもあり、医師が直接執筆しているものに信頼を置いています。他、参考になったのは、耳下腺腫瘍の術後の写真をアップしているブログ。この程度になるね、というのが素人的にわかりやすかったです。専門の医師はその辺、その先生には当然すぎて記述してくれなかったりするので。直接友人に耳鼻科・形成の医師がいなかったので、形成の先生につてを伝って話を聞くと全身麻酔で3時間ぐらいはふつう、と。総合病院レベルではおそらく形成でも耳鼻科でも難しい、というのもあっさり知ることができて、結局大学病院となりました。実は最初は皮下腫瘤ぐらいに考えていたので(某所でMRIをとった時に脂肪腫と言わていた)最初は形成の先生に日帰りで切ってもらおうと思っていて、腕のいい先生を知り合いを通じて探していたのです。でも大学病院の形成を受診してみたら、耳鼻科へ紹介に。その大学大学で多少すみわけが違うんですね。そこは行ってみないとわからないです。事前に分かればありがたいですが。

まあまあ把握できたら手術の合併症も出たらあきらめるしかないね、と腹がくくれます。切ってもらえるのは数か月先。不安はもちろんオペ終わってみるまで、病理結果が出るまであるんですが、焦燥感は和らぐんですよね。術後の傷の治りは自分の治癒力に任せるしかなく、その過程でおこりえる晩期合併症は医師のせいでも自分の努力不足でもないので。

手術の承諾書やムンテラ(手術説明)も入院してからだったけど(ココは今時なら事前にもらえてもいいのでは?と思いましたが)、術前日夕方、悪性なら放射線治療です、と当たり前のことを先生の口から聞くだけで、ま、そうだよね、と安心するから不思議です。信頼関係なんでしょうね。

だから、医師として働いているとき、

  • どんなに説明の言葉を尽くしてみても、患者さんには手術は何となく不安なもの。不安は当たり前のものと心得る
  • 何回も同じことを訊く患者さんは理解ができていないのか、何か他の不安で繰り返し訊くのかを考える。例えば緑内障と説明して説明の書類まで渡しているのにまた「私は緑内障なんですか?」ときく方。書類まで渡してまだそれ訊くならだいぶ認知症進んでいる?とぱっと浮かびますが、これが結構緑内障の方に多いのです。否定してほしいのか、部分的に納得できないのか、それとも書類はもらったけど読むのが面倒で耳から情報を入れてほしいのか、医師がたまに異なるからセカンドオピニオン的にで確認したいのか、といろいろなことが頭を駆け巡ります。なので返事は「緑内障です」ではなく、「何か腑に落ちないことがありますか?」とまず確認することにしています。
  • 患者さんがむっつりしているとなにが信頼関係を損ねているのか医療者側が不安になります。 たいていは何か不満があるもの。中には問診票には書いていないけどメンタルの疾患があるとわかる方もいます。はなしが終わった時に無表情だと、なんとなくこちらももやもやしながら対応になりますが、でも長い年月のお付き合いでこれがこの方の標準の状態なんだ、とわかることもあります。それが分かると医療者の側も安心です。
  • HPを作るうえで心がけているのは、正しい情報のありかを示して行こう、という事です。少しずつですが、充実させていこうと思っています。医療の情報はあちこちにあるけど、それが正しくないこと、誤解を生む内容であることも多いのが目につきます。例えば色覚異常のイメージが独り歩きしたり、昔の薬の内容だけが載っていたり。また十分説明したと思っていたのに、思わぬ質問を受けて伝わっていなかったんだね、と思う事もあるので、道しるべになれたらとおもいます。

 

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