白内障手術はで、普通は左右あまり度が違わないように合わせます。裸眼で遠くが見やすいようにしたいなら、左右同じように遠くが見えるような度数の人工レンズを入れるのが一般的です。
 
左右とも度がそろっていたほうがバランスが良く、違和感も少なく、ものを立体的に見るにも好都合で、メガネも作りやすいからです。
 
しかし、わざと左右の度を変え、右目は遠く(正視か軽度近視)、左目は近くが見やすい目(近視)にする方法があります
 
この方法をモノビジョンと言います。なぜわざわざこうするかというと、それは脱老眼鏡の1つの選択肢になるからです。

通常老眼になると遠近両用の眼鏡、遠近両用のコンタクト、手元が見やすい程度の近視の人は遠くは眼鏡で近くは裸眼でみる、という対応をします。

白内障の手術後の選択肢も同様ですが、他に多焦点眼内レンズの入れる方法、片方わざと近くが見やすくしておく(モノビジョン)方法があり、この2つの方法は眼鏡に頼る頻度が減ります。

モノビジョンの利点

モノビジョンは、近くを見るときは近視の目(例えば右)、遠くを見るときは正視か軽度近視の目(例えば左)で見ます。この状態では両目で同時に見ているのではなく、片目ずつを器用に使い分けていて、この状態をモノビジョンと呼んでいます。もともとモノビジョンの状態の方では脳が既に適応していて、すばやく切り替えてくれますし、本人も便利に感じていることが多いため、当院ではそういう方は白内障手術の際もモノビジョンの状態にします。

・遠くと、近くか中間の2点にピントがあう。公的保険適応だから安くて眼鏡に頼る頻度が減る

モノビジョンの欠点

1)遠方(1mより遠く)、近方(30cm)、中間(50cm)のうち2つしか選べないから、結局1本は眼鏡を用意する可能性あり。

2)乱視は0にはできないし、加齢により乱視は変化する。1)の場合でも同じだが、眼鏡を作る際に左右のものの大きさが違いすぎないように眼鏡だと左右の度数差は2Dまでに抑えないといけないので遠近のモノビジョン(3Dの違い)だと片方の目には弱めにして眼鏡を作ることになる。【凹レンズ(近視のメガネ)は物体が小さく見え、凸レンズ(遠視のメガネ)は物体が大きく見える】

3)両眼で同じ距離をピントが合った状態では見られないから立体視は弱い

4)モノビジョンで左右を使い分けるためには脳がその状態に慣れて適応しなければならないのですが、それには時間がかかる。

5)モノビジョンに不都合を感じた場合の対処法
・レーシックで左右差をなくす
・コンタクトレンズで対応(コンタクトレンズならモノの大きさは度数によって変わらない)

 
当院での白内障手術でのモノビジョン

当院では単焦点を希望の患者さんには手術前の見え方に近いものをお勧めしています。もともと裸眼で遠くが見やすい方は遠く合わせ、遠くは眼鏡で近くは眼鏡をはずしてみる癖がある人には近く合わせ。特別な仕事、趣味でどうしても、という方は別ですが今までの生活スタイルのままの方が特別に慣れる時間というのが不要です。そのためモノビジョンは積極的にお勧めもしていません。慣れるのに時間がかかり、なれなかった場合の対処が眼鏡でも満足いかない可能性があるからです。
 
術前からもともとモノビジョン状態で、術後も同じ状態を希望された方だけ、モノビジョンにしています。既に慣れた状態なので適応しやすいからです。

モノビジョンは長い歴史がありそれでもいまだ主流の方法ではありませんが、積極的に進めている先生のところでは2割の患者さんがモノビジョンを選択、という話があります。

もし当院でもともとモノビジョンでない方がご希望の場合、眼鏡での補正が比較的困難でないことを勘案し、遠方と中間、もしくは中間と近方という組み合わせ(左右の差を2D以内)でお考えいただくのがいいと思います。遠くと近く(レンズで左右3Dの差)はよくよくのご理解のある方でないと厳しいでしょう。眼鏡やコンタクトレンズでモノビジョンの見え方を確認していただくのが分かりやすいのですが、時間とコンタクトで試すなら費用が掛かりますし、白内障越しに見ているのでやはり完全なシュミレーションとはいきません。
 
患者さんが利点・欠点をよく理解し納得した上で選択をしていただくことが必要です。